2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830102
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笠島 洋一 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (30583166)
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Keywords | 理論経済学 / ゲーム理論 / 協力ゲーム / メカニズムデザイン / 資源配分問題 / 公理 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、「権利問題」と「非分割財の確率的配分問題」と呼ばれる資源配分問題を中心に分析した。「権利問題」とは、各人の権利(実数値)の合計が、資源(実数値)を超えている場合に、資源を権利を持つ人々にどのように配分するべきかという問題である。倒産した企業の資産を債権者に分ける状況や、公共財のプロジェクト費用を人々に負担してもらう状況などが例として挙げられる。この問題に関して、ロチェスター大学のWilliam Thomson教授と共同研究を行なった。この問題における様々な「単調性」の公理が、いくつかの作用素に対してどのような性質をもっているのかといった問題や、整合性と呼ばれる公理によってどの程度拡張されるのかといった問題を分析した。また、parametric familyと呼ばれる非常に広いルールの族において、これらの公理が持つ含意が明らかにされた。一方、「非分割財の確率的配分問題」とは、各人が有限個ある分割することができない財(非分割財)に対して(独自の)選好を持っているときに、それらの非分割財を人々にどのように分けるべきかという問題である。新入生に学生寮の部屋を割り当てる状況など多くの例が挙げられる。この問題に対して、確率的な手法を使って配分を行なうメカニズムを分析した。特に、各個人が「嘘をつくことが得にならない(Strategy-proof)」ことを要求する公理が、どのような状況で満たされるのかを中心に分析を行なった。また、「公共財の確率的選択問題」についても研究を進めた。これは、各人が有限個数の選択肢について選好を持っているときに、社会として一つの選択肢をどのように選ぶべきかという問題である。この(公共財の)選択肢に関して、確率的な手法を用いて選ぶメカニズムを分析した。これまでの文献で考えられてきた公理以外の公理がどのような含意を持っているのかを分析した。
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