2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830113
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
及川 昌典 同志社大学, 心理学部, 助教 (40580741)
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Keywords | 実験社会心理学 / プライミング / 潜在指標 / 自動性 / 顕在指標 / 非意識 |
Research Abstract |
本研究の初年度にあたる平成22年度には、主に多重自動性モデルの精緻化、および、モデルの妥当性の検証(予備実験と本実験)が進められた。研究の第一段階として、多重自動性モデルの理論的な枠組みを精緻化させ、このモデルの枠組みに沿って自動性研究の知見を分類することが試みられた。自動性研究の主要な理論、知見、および問題点などの把握を目的としたレビューである。これらの一部は、心理学評論(『無意識の認知,行動,動機づけ:同化効果と対比効果のメカニズムと調整要因』、印刷中)、書籍(『自己制御における意識と非意識の役割』風間書房)としても発表されることが決定している。また、専門知識の提供を円滑に仰ぐために、この分野の第一線で活躍する国内外の専門家たちとの相互連携体制の構築が進められた。このために、申請者は年間10回以上の国内出張および海外出張を重ね、実験の実務的な手続きの調整を行った。 また、多重自動性モデルの妥当性を検証するために、11月と1月には予備調査および2つの実験が実施された。従来使用されていた潜在態度指標(AMP:感情誤帰属手続き)の不明瞭な点である効果のメカニズムに着目し、これを明確にするために、個人差との関連を考慮した実験室実験が大学生56名を参加者として行われた。さらに、デフォルト効果と自動性および統制性との関連を明らかにするために、大学生120名を対象とした実験が行われた。いずれも、本研究の目的である無意識の変容と獲得の解明に有用な示唆を与えるものと考えられる。これらの実験の成果は、来年度に開催が予定されている国内外の学会や、学術誌での発表に向けて現在準備中である。
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