2011 Fiscal Year Annual Research Report
保育者・子ども・保護者の関係性に見る保育実践の質-保育記録と保護者の語りから
Project/Area Number |
22830114
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
林 悠子 佛教大学, 社会福祉学部, 講師 (90584483)
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Keywords | 保育の質 / 保護者 / 保育者 |
Research Abstract |
平成23年度は、保育におけるプロセスの質について、1、保育者と子どもの関係性について、前年度の成果について、より踏み込んで、個と集団の関係性にも着目した分析を行った。2、保護者にとっての質とはどのようなこととして経験されているのかを明らかにする研究を実施した。 1、個と集団に着目した時系列分析:平成22年度の研究結果を踏まえて、より丁寧に記録の時系列分析を実施した。 2、保育所を利用している保護者Aさんの語りから、保護者にとっての保育の質とは何かを明らかにした。具体的には、Aさんへの半構造化インタビューを実施し、KJ法により、語りのデータを質的に分析した。第1回目のインタビューでより深く聞きたい点を中心に、第2回目のインタビューを実施した。 インタビューデータ分析の結果、次の7つのグループが表れ、以下のように考察できた。 (1)愛しいわが子の安全と健康を願う (2)子どもの育ちについて、不安もありながらも喜びを感じる (3)保育所での子どもの人間関係への心配と喜び (4)保育者に対するさまざまな思い (5)仕事と子育てのバランスをとる難しさを感じながら働く (6)保護者どうしの関係に気遣うこともあれば心強いこともある (7)保育所に対する感謝や期待、要望 保護者にとっての保育の質とは、仕事中単に子どもを安全に預かってくれればよい、というレベルを超えたものであった。担任保育者を中心に、保護者としての様々な思いを受け止め支える、わが子の育ちの可能性を広げる経験を保障し、育ちを喜び合う、といった、日々の保育者との関係性の積み重ねの中に、質を見出していると言えることが明らかになった。 保育の質については、国際的には議論・研究の蓄積はあるが、日本ではまだ議論が始まったばかりである。子ども・子育て新システムへの移行期である現在、サービスとしての質議論が多く見られるなか、保育に直接関係する者である保育者・保護者の視点における保育の質について明らかにすることは、今後の保育の質議論において、実践に即したボトムアップの質議論への貢献が可能となる。この点において本研究の意義があるといえる。
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Research Products
(2 results)