2011 Fiscal Year Annual Research Report
製品(財)市場における企業間の競争状態と配当政策に関する実証分析
Project/Area Number |
22830115
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
三谷 英貴 立命館大学, 経営学部, 准教授 (80584052)
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Keywords | ペイアウト政策 / 配当政策 / 企業間競争 / 企業金融 / 産業組織論 |
Research Abstract |
本研究では「製品(財)市場における企業間の競争状態と株主還元(ペイアウト)政策に関する実証分析」という課題のもとに,製品(サービス)市場における企業間の競争状態と株主還元(ペイアウト)政策とが,どのような動的関係にあるのかを明らかにすることを目的としている. 本研究の最大の特徴は,市場集中度,及び,産業内における個別企業の市場支配力といった複数の観点で企業の競争状態をとらえたうえで,そのような実体経済の側面が企業の配当政策といった金融的側面とどのような動的関係にあるのかということを実証的に分析する点にある. 製品(財)市場における企業間の競争状態とコーポレート・ファイナンスに相互関係があることは,欧米の理論的研究を中心にいくつかの結論が既に導かれている.しかしながら,理論的研究を支持するための実証研究は欧米においても少なく,国内においてはまだない.したがって,両社の相互関係を把握するために実証研究を行う学術的意義は大きいと考えられる. 実証分析より,競争的(非競争的)な産業に属する企業ほど,ペイアウト政策に積極的(消極的)になるという結果が得られた.この分析結果からは,企業間競争によって経営者が規律づけられているように見える.しかしながら,産業内における個別企業の市場支配力という要因を考慮すると,両者のマイナス関係は,市場支配力を持つ企業ほど弱くなるということが判明した.つまり,非競争的な産業に属する企業の中でも,特に,市場支配力のない企業がペイアウト政策に消極的になるということである.以上の分析結果より,企業間競争には経営者を規律づけるほどの効果は認められず,企業間競争とペイアウト政策との関係は,ライバル企業からのプレデーションに対する潜在的な脅威にもとづいていると結論づけることができる.
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