2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830118
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
上田 光明 大阪商業大学, 大阪商業大学JGSS研究センター, ポストドクトラル研究員 (60588929)
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Keywords | 犯罪学 / 犯罪学理論 / 実証研究 / 国際比較研究 |
Research Abstract |
前半(2010年10~12月)で、犯罪学理論に関する文献を網羅的にレビューしたり、サンフランシスコで開催されたアメリカ犯罪学会に参加することにより、犯罪学理論の最近の展開を追い、どのような実証研究が行われているのかを考察することができた。その考察に基づき、質問紙調査に入れる質問項目の選定を行い、コントロール理論やパワーコントロール理論といった犯罪学理論の変数を導入した。なお、前者の理論の検証は、これまでも我が国の犯罪・非行の説明に何度か適用されてきたのに対し、後者の理論の検証については我が国で初めてのものになる。いずれにせよ、こういった犯罪学の理論の検証は、我が国では研究蓄積の絶対量が少なく、実施するだけでも意義があると言える。 また、以上の理論的検討に加え、社会統計学に関する文献も渉猟し、最新の分析手法を学ぶ事が出来た。犯罪や非行は頻繁に生じる現象ではないため、犯罪学の世界では線形分析から非線形分析への潮流があり、計量分析のスキルの有無が生命線である。また、質問紙の作成方法や分析方法などについて大阪商業大学JGSS研究センターの同僚から助言を得て、効率的かつ人権に配慮した質問紙を完成させることや、最新の統計分析手法であるマルチレベル分析について理解を深めることができた。 後半(2011年1~3月)では、予定していた日本とイギリスでのアンケート調査、及び、イギリスでのインタビュー調査が行えなかったが、計画を前倒して、元非行少年に対するインタビューを実施した。その結果、非行へと走った原因が、そこから立ち直る原因と密接に関係しているという印象を得た。
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