2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830119
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
佐藤 寛 関西大学, 社会学部, 准教授 (50581170)
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Keywords | うつ病 / 自殺 / 予防 / 認知行動療法 / 大学生 |
Research Abstract |
うつ病は大学生にとって重大な精神健康上の問題である。また,うつ病は大学生の自殺の主要なリスクファクターであることも知られている。本研究では大学生のうつ病と自殺の予防を目標としたプログラムを認知行動療法に立脚して開発し,その有効性を検討することを目標としている。 本年度は,昨年度に実施された大学生のうつ病と自殺のリスクとなる認知行動的要因に働きかけるターゲットタイプの予防プログラムの効果を検討した。自記式の抑うつ評価尺度においてカットオフスコアを上回る得点を示すものの,構造化面接においてうつ病の診断基準に該当しない対象者を選抜することで,うつ病リスクの高い大学生を抽出した。 研究への参加に同意の得られた対象者10名のうち,7名をプログラムに参加する条件(介入条件),3名をプログラムに不参加の条件(統制条件)とした。90分×5セッションからなる集団認知行動療法プログラムを実施し,介入の前後にアセスメントを実施した。 介入条件では,プログラムの前後で抑うつ症状が有意に低下し,自殺念慮も有意に低下していた。 加えて,介入条件ではポジティブな自動思考が有意に増加し,快活動の頻度も有意に増加していた。 このような変化は統制条件ではいずれも認められなかった。以上のことから,本研究において開発された集団認知行動療法プログラムは大学生のうつ病と自殺のリスク低減に有益である可能性が示された。今後はより大規模な効果研究において,上記のような効果が支持されるかどうか検討することが求められる。
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Research Products
(9 results)