2010 Fiscal Year Annual Research Report
国立ハンセン病療養所と地域の関係にみる生活支援の社会的基盤形成に関する研究
Project/Area Number |
22830127
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Research Institution | Shiraumegakuen College |
Principal Investigator |
新田 さやか 白梅学園短期大学, 実習指導センター, 助教 (50584629)
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Keywords | 社会福祉関係 / ハンセン病問題 / 社会的排除 |
Research Abstract |
今年度は、平成23年度に全国13園の将来構想計画の現状把握を目的とした郵送調査を実施するにあたり、そのパイロットスタディとして国立療養所栗生楽泉園を対象に事例調査を実施する予定であった。しかし、同園の計画の進捗状況を踏まえ、同園以外の園を訪問し立地条件や地域と園との関係を把握するとともに入所者自治会関係者との関係形成を進めること、国立療養所の将来構想の議論に関わる資料収集を進めることに実施計画を変更した。具体的には国立療養所栗生楽泉園(群馬県)、国立療養所多磨全生園(東京都)、国立療養所長島愛生園(岡山県)、国立療養所邑久光明園(岡山県)、国立療養所松丘保養園(青森県)、国立療養所大島青松園(香川県)を訪問した。現在各園では、将来構想計画の策定および実施にあたり、入所者自治会、園、支援組織(全医労、市民団体等)、所在自治体とで協議がなされているが、入所者の高齢化にともない自治会運営が困難になっていることや国の取り組み姿勢が課題となっている。各園の構想としては、療養所を人権学習のための場としていくこと、園内保育所を設置して地域住民が利用できる施設としていくこと、入所者の安全で安心した療養生活を保障していくことなどが挙げられている。療養所の将来構想を考えていくうえでは園の立地条件(周辺地域からのアクセスの問題)、支援組織の存在、所在自治体の財政状況等、様々な面からの考察の必要性を把握することができた。また平成22年11月25日~27日にソウル特別市および小鹿島(韓国)で開催された「ハンセン病フォーラム」に参加した。韓国のハンセン病回復者を取り巻く現状、特に定着農園の状況、国立小鹿島病院におけるハンセン病回復者に対する生活支援と治療のあり様について日本のハンセン病回復者の生活および国の支援状況との比較把握を目的とした情報・資料収集を実施した。
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