2010 Fiscal Year Annual Research Report
所属集団の心理社会的資源としての機能に関する多角的検討
Project/Area Number |
22830128
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Research Institution | Nagasaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
中島 健一郎 長崎女子短期大学, 幼児教育学科, 講師 (20587480)
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Keywords | 社会的排斥 / 内集団アイデンティティ / 心理社会的資源 / fMRI実験 / 前部帯状回背側部 |
Research Abstract |
本年度は、心理社会的資源としての集団の機能として潜在的なストレス状況に対する査定に着目した調査・実験的検討を行った。具体的には、「自身がおかれている状況をストレスフルであると捉える程度」と「対人的なストレス状況に実際におかれた場合の反応」が所属集団に対するアイデンティティの高まりによってどのように変動するか明らかにすることを目的とした検討を行った。 まず、前者に関して、所属集団へのアイデンティティが何によって高まるのか、そしてその高まりが自身のおかれた状況への査定にどのような影響を及ぼすのか明らかにするために、2つの調査的検討を実施した。その結果、人は社会的に価値の高い集団に対するアイデンティティを高めること、そしてその高まりが対象集団のメンバーからのサポートに対する期待を高める結果として、自身のおかれている状況をストレスフルなものではないと捉えるようになることが示された。現在、この知見に関する研究を国際誌に投稿している。 次に、後者に関して、社会的排斥状況におけるストレス反応が所属集団へのアイデンティティによってどのように異なるのか明らかにすることを目的としたfMRI実験を行った。その際、所属集団へのアイデンティティをそのメンバーへのものと集団という枠組みに対するものとに区分して検討を行った。その結果、排斥時の心の痛みを反映している前部帯状回背側部(dACC)の活動と集団メンバーへのアイデンティティの程度に負の関連が認められた。これは、メンバーとの結びつきが強いほど、対人的なストレス状況における心理的な痛みが小さいことを示している。現在、この知見に関する追加分析を行っている。それが終了次第、一連の知見を国際誌に投稿する予定である。
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