2011 Fiscal Year Annual Research Report
所属集団の心理社会的資源としての機能に関する多角的検討
Project/Area Number |
22830128
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Research Institution | Nagasaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
中島 健一郎 長崎女子短期大学, 幼児教育学科, 講師 (20587480)
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Keywords | 社会的排斥 / 自尊心脅威 / 集団アイデンティティ / 心理社会的資源 |
Research Abstract |
本年度は,所属集団の心理社会的資源としての機能について検討するために,主に2つの研究を行った。いずれも集団アイデンティティの適応的機能について検討したものである。 まず,集団アイデンティティが自尊心への脅威を緩和するかどうかについての調査的検討である。これまでに,自身の独立性を重視する個人が自己価値を確認するために,準拠集団へのアイデンティティを高めることが示されている。これは,集団の一員としての意識を強めることで自身の社会的な価値を肯定するためである。しかしながら,すべての集団が社会的価値を担保できるとは限らない。そのため,付加価値の少ない集団に所属している個人に着目した場合,このプロセスが生じないことが予測される。この点について検討した結果,社会的価値の高い学部に所属しており,かつ自身の独立性を重視している個人が,自尊心脅威に晒された場合に学部集団へのアイデンティティを高めることが示された。 次に,集団アイデンティティが排斥経験時の心理的痛みを緩和するかどうかについての準実験的検討である。前年度の研究成果として報告したように,過去の排斥経験を想起する場合,そしてPC上でのキャッチボール課題で排斥される場合といった排斥操作による心理的痛みに対して,現在所属している集団に対するアイデンティティが抑制効果を持つことが確認されている。しかしながら,将来孤独な状況に置かれる可能性を伝えるといった排斥操作による心理的痛みに対して同様の効果を持つかどうかは検討なされていない。この点について検討した結果,現在の所属集団に対するアイデンティティが高い個人ほど将来孤独になる可能性の高さに心を痛め,その現実から逃れたいと思うことが示された。
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Research Products
(4 results)