2010 Fiscal Year Annual Research Report
支援の社会学―ハンセン病経験者の生と自律に関する総合的実証研究―
Project/Area Number |
22830132
|
Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
本多 康生 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所・障害福祉研究部, 流動研究員 (50586443)
|
Keywords | 医療社会学 / ハンセン病 |
Research Abstract |
ハンセン病経験者の生を多面的に支える上で、本年度は当事者や家族の生活の全体像を把握するため、ハンセン病療養所に関与する諸主体に対する聞き取り調査・参与観察を、数箇所のフィールド(療養所・SHG・支援組織等)において実施した。また、退所者・弁護士・専門医等から紹介を受けて面接の許諾を得た、関西・東海・東日本地方に居住する退所者・非入所者・家族に半構造化インタビューを実施し、今まで十分な考察の対象となってこなかった退所者の生を、彼らの実存的苦悩に照準して、家族・職場・地域など社会生活における主要な〈居場所〉の意味を考察する論文を執筆した。その結果、退所者の回復の営みを社会的に支えていくためには、病歴を開示できる「親密な他者」との対話を通じて、日常生活の固有の〈居場所〉を、ハンセン病の苦しみを分かちあうコミュニティに変えていくことの重要性が示された。本研究の知見は、ハンセン病問題に限らず、特に当事者だけでなく家族全体が異なった立場で「問題」の当事者と見なされるような、強固なスティグマを有する障害や病いに苦しむ人々を社会的にケアしていく上で、重要な示唆を持つと考えられた。
|