2010 Fiscal Year Annual Research Report
競争法規制における合理原則について――国際法学からの検討
Project/Area Number |
22830135
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
山内 由梨佳 防衛大学校, 人文社会科学群, 講師 (80582890)
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Keywords | 国際法 / 競争法 / 比較法 / 刑事法 / 国家管轄権 / 属地主義 / 効果主義 / 経済犯罪 |
Research Abstract |
本研究は、競争法の域外適用の根拠となる合理原則を国際法学の観点から分析・検証し、国際的な競争法規制のあり方について理論的基盤を提供することを目的とする。自国領域外で行われた競争法違反であっても、その具体的な影響が自国市場に及べば自国法を適用できるという「効果主義」は、既に米国と欧州連合(EU)において定着している。しかしその効果主義を限定する基準である「合理原則」の射程は、欧米においても一貫していない。そこで本研究は欧州が効果主義を積極的に導入し始めた1990年代以降の国家実行を中心として、米国、欧州、日本における国家実行を実証的に分析し、その射程を明らかにする。その上で日本国内の独占禁止法の特殊性を踏まえて、日本における合理原則の妥当性を国際法学の観点から検証する。 申請研究期間の1年目は、各国の競争法の実証研究を行った。そのために各国法令の制定過程、その趣旨目的、制定を主導した国内の政治動態や社会的背景、制定後の運用過程、実施のメカニズム等を、一次資料と有益な二次資料を中心にして調査した。米国に関しては、独占禁止法の基礎が構築された1930年代から遡って、主要な国家実行を追った。また欧米に関しては、20世紀初頭から競争法規制を否定していた時期も含めて国家実行を追った。特に欧州各国における1950年代の対抗立法と、その後の効果主義の導入について詳細に検討した。その中でも、ドイツが効果主義の導入に積極的であったので、ドイツにおける事例を中心に調査した。中国に関しては、その競争法は2008年に施行されたばかりである。その立法の経緯だけではなく、2009年の三菱レイヨンの合併審査等、重要な事例にも着目しながら検討を行った。
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