2011 Fiscal Year Annual Research Report
競争法規制における合理原則について――国際法学からの検討
Project/Area Number |
22830135
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Research Institution | 防衛大学校 |
Principal Investigator |
山内 由梨佳 防衛大学校, 人文社会科学群, 講師 (80582890)
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Keywords | 国際公法 / 国際経済法 / 国際刑事法 / 競争法 / 経済犯罪 |
Research Abstract |
本研究は、競争法の域外適用の根拠となる合理原則を国際法学の観点から分析・検証し、国際的な競争法規制のあり方について理論的基盤を提供することを目的とするものだった。本研究は欧州が実施主義を積極的に導入し始めた1990年代以降の国家実行を中心として、米国、欧州、日本における国家実行を実証的に分析し、その射程を明らかにしようと試みた。その上で日本国内の独占禁止法の特殊性を踏まえて、日本における合理原則の妥当性を国際法学の観点から検証した。 本研究は(1)米国、欧州、競争法規制を行っている主要なEU加盟国(英、仏、独、西)、中国、日本における競争法違反行為の国際的規制の実行を丹念に追うことによって、合理原則がどのような射程において用いられ、どのような機能を果たしているのかを明らかにすることを試みた。検証の対象は欧州地域・米国・日本・中国に限定し、その中でも欧州に力点を置いた。その成果を踏まえて、本研究は(2)日本における合理原則の妥当性を検証する。日本が独占禁止法を域外適用する事例は数が極めて少ない。また、公取委員会の内部においても事案に対処するに当たって一貫した基準が用いられているわけではない。しかしそのことは域外適用の必要性がないことを意味するものではない。そこで、本研究は日本の法制の特殊性を踏まえて競争法の域外適用のあり方を検証した。さらに、日本企業が欧米等によって競争法を域外適用された場合に、当該企業や日本政府が取りうる手段についても、国際法の観点から検討した。
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