2010 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時脳活動の計測および脳活動パタン解析手法の開発と検証
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22830136
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
玉置 應子 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (20586276)
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Keywords | 睡眠 / 脳活動 / 夢 / パタン解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,夢見中の脳活動や夢見のメカニズムを探るための実験システムおよび脳活動パタン解析手法の開発と検証を,効果的かつ効率的に行うことである。今年度の目標は,fMRIと睡眠ポリグラムの同時計測による睡眠中の自発脳活動の計測と詳細なステージ判定を実施し,生体リズムを考慮したmultiple awakening法により,効果的かつ効率的な夢見報告データと脳活動データの取得を実現することであった。以下に,今年度の成果をまとめる。 実験参加者は睡眠障害のない健康な成人3名であった。2日間の順応セッションを実施した後,fMRIと睡眠ポリグラムの同時計測セッションを行った。生体リズムに起因する午後の眠気(ポストランチディップ)を利用したmultiple awakening法を開発し,午後1時から5時半までに睡眠実験を実施することで,効率的に睡眠データを取得した。これに加え,睡眠ポリグラムにおけるfMRIアーティファクト除去をオンラインでおこない脳波段階判定を行いながら,覚醒させるタイミングを決定した。先行研究より,θ波の出現する脳波段階5には視覚的な夢見報告が多く(36.2%),また脳波段階5の持続時間は比較的長いことから,この時期を中心に覚醒させた(なお,比較のために他の脳波段階でも覚醒させた)。その結果,合計12回のfMRI実験で,409回の覚醒のうち,349(85%)の視覚的夢見報告および関連する脳活動データが得られた。先行研究では入眠期には平均して31.4%,脳波段階5のみでも36.2%(最も夢見の報告率が高かった脳波段階6では43.8%)であり,本研究の報告率と比較するとかなり低い。本研究のmultiple awakening法が効率的,効果的であることが分かる。夢見報告を伴う多くの脳活動データのサンプルにパタン解析を組み合わせることで,入眠期の主観的体験の脳内での表現様式やNREM睡眠中の夢見のメカニズムの解明に光明を投じたといえる。
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