2010 Fiscal Year Annual Research Report
高移動度酸化亜鉛二次元界面における強相関希薄電子系の金属絶縁体転移
Project/Area Number |
22840004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小塚 裕介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (70580372)
|
Keywords | 酸化物薄膜 / 金属絶縁体転移 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
金属絶縁体転移は半導体を扱う上で最も基礎的で重要な現象である。従来、二次元以下の系はすべて絶縁体であることが理論・実験両面より証明されたと考えられていたが、1990年代中ごろに非常に清浄な半導体二次元界面が作られ、極低温でも金属的状態が観測された。現在でもその起源は明らかになってはおらず、盛んに研究が行われている。また、このような研究は主にSiの表面反転層とGaAs/(Al,Ga)As系に限られている。 本研究では近年得られるようになった、非常に清浄な(Mg,Zn)O/ZnO二次元界面において金属絶縁体転移を観測・解析を行うことを目的とする。この系は他の系に比べ電子相関が大きく他の系とは非常に異なるパラメータ空間に位置する。最終的には各種の臨界指数を求め、理論と比較検討し、二次元系における金属絶縁体転移の理解を飛躍させることを狙う。 H22年度は二次元の金属絶縁体転移が観測できるより清浄な界面を作製することに主眼をおいた。酸素源として100%オゾンを用いることで、不純物を極限まで減らし、結果として、これまでの2倍以上の500,000cm^2/Vsの移動度を示す酸化亜鉛二次元界面の作製に成功した。また、この試料を用い、極低温・強磁場において量子ホール効果の観測を行ったところ、v=1/3の分数量子ホール状態をこの物質で初めて観測した。 また、強磁場施設においてさらに磁場を印加するとv=1/3以上の磁場では急激に抵抗が上昇し、絶縁化することが明らかとなった。この絶縁体状態ではホール抵抗は通常のキャリア濃度で与えられる値を取る特別な状態であり、量子ホール絶縁体と呼ばれ、酸化亜鉛系では今回が初めての観測である。
|
Research Products
(5 results)