2011 Fiscal Year Annual Research Report
磁性強誘電体におけるドメイン構造の可視化と外場制御
Project/Area Number |
22840006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 伸行 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (70582005)
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Keywords | マルチフェロイック / 電気磁気効果 / ドメイン壁 |
Research Abstract |
複数の強的あるいは反強的な秩序を同時に有するマルチフェロイック物質では、非対角応答を利用した新しい物性制御方法の開拓が期待される。このような物性応答を理解するためには強的な秩序状態における双安定性によって生じる分域構造および分域壁の外場応答についての知見を得る必要がある。本研究では主に「らせん磁性」を有するCuCrO2、電気磁気効果を示すRFe3(BO3)4やCuB204などを対象としてドメイン構造の可視化と外場制御を目指し研究を行った。研究では単結晶試料を育成し、磁化および電気分極を測定した後、光吸収スペクトルの測定を行った。ここでは特にRFe3(BO3)4について調べた結果を述べる。 RFe3(BO3)4は磁気構造の変化に伴い電気分極が変化する。この様子を可視から近赤外領域の吸収分光によって検出することを試みた。はじめに単結晶試料をフラックス法によって育成し、磁化率、誘電率、電気分極の測定を行い電気磁気効果が現れることを確かめた。次に磁気誘電性を示す物質であるHoFe3(BO3)4と磁気誘電性を示さないYFe3(BO3)4について光学測定を行った。これらの物質は三方晶に属するため一軸性の光学応答を示すことから光学主軸であるc軸方向およびc軸と垂直な[110]方向に電場成分を持つ直線偏光を入射し、光吸収スペクトルの温度変化を測定した。この結果からFe3+イオンのスピン禁止遷移による光吸収の大きさと磁化率および電気分極が同様の温度変化を示すことがわかった。今後は電磁石およびCCD検出器を用いて分域構造の可視化を行うことによって電気磁気効果の発現機構について明らかにして行く。
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