2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22840009
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
田中 雅臣 国立天文台, 理論研究部, 助教 (70586429)
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Keywords | 天文学 / 宇宙物理学 / 超新星爆発 / 偏光 |
Research Abstract |
今年度は、これまでに得られた超新星の偏光分光観測データを集約し、その統計的性質を調べた。その結果、超新星の吸収線における偏光度の変化が、吸収線が深くなるほど大きくなることが分かった。また、この関係を説明する解析的なモデルを見いだした。これまで、異なった天体間やライン間の偏光度の違いを補正する方法がなかったが、この関係を用いて偏光度を吸収線の深さで規格化することで、異なる天体の偏光度を比較することが可能となった。 また、偏光観測の結果を定量的に分析するため、偏光を含んだ3次元偏光輻射輸送シミュレーションコードの開発を行い、観測データとの比較に主眼を置いた、単一のラインのみを扱うコードが完成した。このシミュレーションコードを用いて、トーラスや双極状分布、複数のクランプ等、様々な元素分布に対して偏光スペクトルの計算を行った。その結果、観測データに現れている偏光の角度変化が、二次元軸対称の爆発形状では説明できず、超新星爆発が3次元的な構造をもつことが明らかになった。これまでの超新星の偏光観測ではほとんどの場合で偏光度が検出されており、超新星爆発が大スケールの3次元構造を普遍的に持っていることを示唆している。 超新星爆発の環境の研究では、これまで発見されたすべての超新星とその母銀河をデータベース化し、超新星のタイプ(外層の量)ごとに母銀河の明るさと親星の環境の金属量を比較した。その結果、外層を完全に失った超新星(Ib.Ic型)は他のタイプより明るい銀河に現れていることが分かったが、これまで調べられていなかった、水素外層を少しだけもつ超新星(IIb型)や親星が激しく質量放出をした超新星(IIn型)の環境には有意な違いが検出されなかった。
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Research Products
(7 results)