2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22840011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 努 京都大学, 次世代研究者育成センター, 助教 (40580212)
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Keywords | ダークエネルギー / 重力理論 / 宇宙論 / 初期密度揺らぎ |
Research Abstract |
拡張重力模型にもとづいた加速膨張宇宙の研究を、特に観測的検証を念頭において実施することが本年度の目標であった。主として、拡張重力理論のひとつであるガリレオン理論に動機付けられた宇宙模型の研究をおこなった。ガリレオン場を初期宇宙の加速膨張、すなわちインフレーションに応用し、新しいクラスのインフレーション模型-G-inflation-を提唱した。G-inflationにおける揺らぎの性質を精査し、現在の観測と無矛盾な予言を与える一方で、重力波揺らぎについては、将来観測で検出可能な程度に大きな振幅が予言されることを示した。また、スカラー場のポテンシャルが通常では許されないほど急な場合にもG-inflationを起こすことが可能であることを指摘した。その仕組みをヒッグス場によるインフレーション模型に取り入れ、通常では難しかった観測と整合的なヒッグスインフレーション模型の構築に成功した。 これとは別に、一般相対論にベクトル的重力自由度を加えるような修正を施した際に、それをどのような観測で検証できるのかを検討した。具体的には、そのような重力理論の代表例であるアインシュタイン-イーサー理論の枠組みで、ベクトル摂動の発展方程式を数値計算に組み込みやすい形で導出し、マイクロ波背景放射の偏光Bモードのスペクトルを数値的に計算した。その結果、このような理論では通常期待される重力波起源の偏光Bモードよりも大きな振幅のBモードが生成されることが明らかになった。また、スペクトルの形から理論のパラメータに制限をつけることが可能であることを指摘した。
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