2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22840011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 努 京都大学, 次世代研究者育成センター, 助教 (40580212)
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Keywords | 修正重力理論 / ダークエネルギー / 密度揺らぎ |
Research Abstract |
現在の宇宙は加速膨張しているということが観測的に強く示唆されている。しかし、その起源は不明であり、現代宇宙論最大の謎である。この問題に対して、未知の物質であるダークエネルギーを導入する従来のアプローチに代わり、重力法則を宇宙論的長距離で変更することによって加速膨張の説明を試みるアプローチ(拡張重力理論)が注目されている。本研究の目的は、(1)マイクロ波背景放射や大規模構造などに現れる拡張重力理論特有の徴候を明らかにし、観測成果を用いてこれらの理論のテストをおこなうことならびに(2)さらに多様な視点から拡張重力模型の整合性・妥当性の精査をおこなうことである。本年度は、通常のテンソル的重力自由度に加えてスカラー自由度をひとつ追加したような修正重力理論を考え、このようなものの中で最も一般的な理論にもとづいて以下の研究をおこなった。まず、最も一般的なスカラー・テンソル理論における密度揺らぎの発展方程式を導出し、一般相対論におけるそれとどのような違いが現れ得るかを明らかにした。これはしたがって、スカラー1自由度を追加したすべての修正重力理論に適用可能な結果である。この種の理論では一般に、弱重力の近似のもとでも小スケールでは非線形効果が重要になることがある。そして、その非線形効果により小スケールで一般相対論が回復される、という効果があると言われている。そこで、前述の結果を必要な非線形効果をすべて取り入れたものに拡張する研究を続いておこなった。これにより、どのような理論においてたしかに小スケールで一般相対論が回復され、どのような理論ではそうならないのか、が明らかになった。
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