2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22840012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新見 康洋 東京大学, 物性研究所, 助教 (00574617)
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Keywords | スピントロニクス / スピンホール効果 / スピン流 / 強磁性体 / メソスコピック系 |
Research Abstract |
スピン流はスピンを用いた電気信号制御において重要な役割を担い、次世代スピントロニクス素子の実現において必須の物理量である。本研究では、このスピン流を生成する手法として知られるスピンホール効果のメカニズムの探索と、スピン流の干渉効果の実験を行うことを目的としている。平成22年度は、主に外因性スピンホール効果のメカニズム解明の研究を行った。過去のFertらによる異常ホール効果の測定(A.Fert et al.,J.Magn.Magn.Mater.24,231(1981).)から大きなスピンホール効果が期待されるIrを不純物として用い、それをスピンホール効果を単体では発現しない非磁性金属のCuに不純物として添加したときの外因性スピンホール効果の観測を行った。その結果、Irを12%まで添加しても、スピンホール抵抗率はCuIr合金の抵抗率に比例関係で増大していくことが分かった。このことは、CuIrで発現するスピンホール効果がskew散乱機構であることを示している。さらにその直線の傾きから、CuIr合金でのスピンホール角(スピン流を生成できる割合)が2.1%と見積られ、この値はこれまでスピンホール角が大きいと報告されてきたPtよりも大きな値となることが分かった。このように合金系の外因性スピンホール効果は、添加する不純物の種類や濃度を調整することで、より効率のよくスピン流を生成できる手法であると言える。上記の結果は、Physical Review Letters誌(Y.Niimi et al.,Phys.Rev.Lett.106,126601(2011).)に掲載された。
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Research Products
(5 results)