2010 Fiscal Year Annual Research Report
実践的な大容量超高圧装置の開発と強相関電子系核磁気共鳴への適用
Project/Area Number |
22840014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北川 健太郎 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (90567661)
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Keywords | 超高圧環境 / 対向アンビル型圧力装置 / 高圧NMR / 高圧核磁気共鳴 / 鉄系高温超伝導体 |
Research Abstract |
1年目は、超高圧装置の圧力発生範囲の拡大を目指した作業と、NaFeAsの超高圧下NMR実験を行なった。超高圧装置の改良案としては、WCアンビルに嵌めこむ透明光学窓の材質を変更して違いを調べた。コーンカットの特殊なダイアモンドを使用したが、モアッサナイトの場合と同じく10GPa以上ではヒビが入り始め、改善が見られなかった為、2年目は形状やガスケットによる改良を行う。 超高圧NMR実験として、鉄系超伝導体の高圧下超伝導のNMR実験を行なった。自ら作成したセルフフラックス方によるNaFeAs単結晶を用いて常圧下で行ったNMR実験(論文1)では、45K以下の反強磁性状態において、非整合スピン密度波状態と整合反強磁性状態の間のクロスオーバーが観測された。この系において化学量論比の乱れのない結晶での非整合状態の報告は殆ど無く、また温度励起のクロスオーバーも珍しいために本論文はJPSJ誌において"Papers of editors'choice"に選ばれている。続いて行っている超高圧下実験では、1.5GPa以上で構造相転移線と反強磁性転移線が重なること、4GPaでは1次相転移的に相分離した反強磁性・超伝導共存状態であること、7GPaではクリーンな超伝導状態であることなどがNMR実験により判明した。また、反強磁性ゆらぎは相境界近傍の圧力で大きく増大していることが特徴的であった。
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Research Products
(6 results)