2010 Fiscal Year Annual Research Report
気候モデルを用いた季節予報の予測可能性に関する研究
Project/Area Number |
22840016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今田 由紀子 (金丸 由紀子) 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 産学官連携研究員 (50582855)
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Keywords | 季節予報 / ENSO / GCM(気候モデル) / 予測可能性 / 異常気象予測 |
Research Abstract |
近年、頻発する異常気象が社会経済に甚大な被害をもたらし、数値モデルを用いた異常気象予報(季節予報)への需要が高まる中、世界各国の気候モデルがこの新しい試みに乗り出している。本研究では、東京大学大気海洋研究所、国立環境研究所、海洋研究開発機構が共同で開発した大気海洋結合モデルMIROCを用いて季節予測システムを構築する試みを行った。初年度に当たる平成22年度は、中解像度版を用いて予測初期値作成から1年後までの予測を行う実験的なシステムを構築し、1980年以降の事後予測実験を行った。異常気象の引き金にもなる熱帯太平洋のエルニーニョ現象について、予測された気候場を実際に観測された気候と比較した結果、世界最先端の気候モデルには及ばないものの、実験的なシステムであるにも関わらず有効な予測スキルが得られた。 エルニーニョ現象の研究分野では、地球温暖化によってその特性が変化するという新しい見方が提唱されており、近年盛んに研究されている。季節予報の予測スキルにも影響を与えると言われているため、この研究の最先端に立つハワイ大学の研究チームを訪問し、気候モデルにおけるその再現性を議論し、共同研究としてまとめた。 次のステップとして、中高緯度の異常気象の原因となるもう一つの要因として知られる北極圏の気圧変動と成層圏の昇温現象に焦点を当てた。これらを予測するには前述の中解像度のモデルでは不十分であるため、まず、高解像度版のMIROCにおいてこのような異常現象をもたらす熱帯太平洋-北極圏-成層圏の結合現象が再現可能であるかを調べた。このモデルは、当時の気候モデルの中では世界でも最高レベルの解像度を有し、有効な再現性が確認された。この高解像度版の大気モデルを用いて、前述の実験的システムから得られた結果をダウンスケーリングする2段階の季節予測システムを構築した。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Impact of the assimilation of sea ice concentration data on an atmosphere-ocean-sea ice coupled simulation of the Arctic Ocean climate2011
Author(s)
Toyoda, T., T.Awaji, N.Sugiura, S.Masuda, H.Igarashi, Y.Sasaki, Y.Hiyoshi, Y.Ishikawa, T.Mochizuki, T.Sakamoto, H.Tatebe, Y.Komuro, T.Suzuki, T.Nishimura, M.Mori, Y.Chikamoto, S.Yasunaka, Y.Imada. M.Arai, M.Watanabe, H.Shiogama, T.Nozawa, A.Hasegawa, M.Ishii, M.Kimoto
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Journal Title
SOLA
Volume: Vol.7
Pages: 37-40
Peer Reviewed
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