2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22840028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横田 巧 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (70583855)
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Keywords | リッチ流 / アレクサンドロフ空間 |
Research Abstract |
本年度はリッチ流とアレクサンドロフ空間の幾何学についての研究を行った。以下に得られた成果を具体的に述べる。 1、勾配型縮小リッチソリトンに関する以前の結果を改良することができた。具体的には、リッチ流の自己相似解である勾配型縮小リッチソリトンと、そのガウス密度と呼ばれる不変量を考え、「ガウス密度が1に十分近いような勾配型縮小リッチソリトンはユークリッド空間に限る」というギャップ定理を示した。これは以前にリッチ曲率が下に有界であるという仮定の下で代表者が得た定理の仮定を外したものであり、これによりJ.CarrilloとL.Niの予想に完全な回答を与えた。以前の証明ではG.Perelmanの縮約体積の単調性を用いるためにリッチ曲率の仮定が必要であったが、勾配型縮小リッチソリトンから得られるリッチ流の古代解に対しては縮約体積の単調性がリッチ曲率の仮定無しで成り立つことを示すことで、この定理を改良することが出来た。 2、曲率が正定数以上であるアレクサンドロフ空間のspreadと呼ばれる不変量に関する定理を証明した。具体的には、曲率が正定数以上の有限次元アレクサンドロフ空間のspreadは正定曲率球面の場合、またその場合に限り最大となるという比較・剛性定理を証明した。距離空間のspreadはM.Gromovが導入したfilling radiusと呼ばれる閉多様体の不変量と関係があり、この定理の系として、境界を持たない曲率が正定数以上の有限次元アレクサンドロフ空間のfilling radiusに対する比較・剛性定理も従う。これはF.Wilhelmが正曲率閉多様体に対して証明した定理をアレクサンドロフ空間に拡張したものである。証明は多様体の場合の議論を参考にしたが、より一般的なアレクサンドロフ空間に対して考えることで、より簡単な証明が得られた。
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Research Products
(5 results)