2010 Fiscal Year Annual Research Report
トロイダルプラズマにおける帯状流の大域構造を考慮した輸送モデルに関する研究
Project/Area Number |
22840034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 真 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (70575919)
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Keywords | 乱流輸送理論 / 帯状流 / 振動帯状流 / 非線形理論 / 高エネルギー粒子 / イオン加熱 / GAM channeling |
Research Abstract |
本研究では、静的帯状流(ZF)と振動帯状流(GAM)を同時に考慮した場合の大域的乱流輸送を理論的に明らかにすることを目指している。平成22年度は、プラズマ境界付近で支配的となるGAMが乱流輸送へ及ぼす効果、直接背景プラズマへ及ぼす効果のそれぞれの過程を理論的に指摘した。 (1)GAMが駆動するZFの効果:GAMは境界近傍で定在波成分を持つ。この場合、GAM同士の非線形結合により、ZFが駆動されるが、この過程を記述する理論モデルを以下のように発展させた。GAM、ZFによる乱流抑制効果を考慮し、乱流、GAM、ZF間結合方程式を導いた。さらにGAMの減衰率のパラメタ依存性を導入することで、駆動されるZFの実験パラメタに関する依存性を明らかにし、効率よくZFが駆動されるパラメタを指摘した。 (2)GAMが背景プラズマへ与える効果:中性粒子ビーム入射等によりプラズマに高エネルギー粒子が存在する場合、運動論的効果によりGAMが駆動されることが指摘されている。一方GAMはイオンランダウ減衰するため、高エネルギー粒子からGAMを介した新しいイオン加熱機構が存在することを指摘した(GAM channeling)。そしてGAMイオン加熱効率を準線形理論の枠組みで定式化した。さらに、高エネルギー粒子が背景イオンを加熱する効果と、GAM channelingによるイオン加熱効果を比較し、無視できない効果であることを理論的に明らかにした。従来、プラズマ温度が高い場合、高エネルギー粒子は電子加熱に寄与しイオン加熱に効果がなくなるという問題が指摘されてきたが、GAM channelingはプラズマ温度が高い場合でも、イオン加熱に寄与できる。将来の核融合炉におけるイオン加熱方法の1つに期待される過程である。
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