2010 Fiscal Year Annual Research Report
空間遠方で増大する非局所的非線型項をもつシュレディンガー方程式の解析
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22840039
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
眞崎 聡 学習院大学, 理学部, 助教 (20580492)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / シュレディンガー・ポアソン系 / 非線型シュレディンガー方程式 / 大域適切性 / モーメント保存則 |
Research Abstract |
本年度は、解の存在に焦点をあてて研究を行った。空間遠方で増大する非局所的非線型項の数学的な取扱い方を確立し、エネルギー空間において大域適切性を証明することに成功した。増大のオーダーに応じて扱い方が多少異なり、1次オーダーがその境界である。共通する特徴は、非線型項の増大部分を線型ポテンシャルとみなすことで、与えられた方程式に線形ポテンシャルがなくても、あたかもそれが存在するかのように扱う、という点が既存の理論の枠組みを超える点である。さらに、1次オーダーより早く増大する場合においては、モーメント保存則が本質的な役割を果たすことが分かった。この保存則は古典力学との対応において現れ、よく知られていたものではあったが、その有用性はあまり理解されていなかった。この保存則をうまくとりこみ、方程式をうまく変形することで解の存在を示すことができた。この議論はポテンシャルをある程度の関数のクラスに広げることができる。 また、ポテンシャルが2次オーダーで増大する場合は、非常に特殊で、すべての解を陽に書き下すことが可能であることがわかった。非線型方程式にもかかわらず解が具体的に書き表せる例は非常にまれである。この陽表示から様々なことが読み取れ、たとえば上で述べたモーメント保存則を用いた方程式の変換が本質的であることを裏付ける。さらに、遠方で増大する非線形項の主要部分を線型ポテンシャルとみなすことが本研究の特徴であるが、それも本質的であることがわかる。
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