2011 Fiscal Year Annual Research Report
空間遠方で増大する非局所的非線型項をもつシュレディンガー方程式の解析
Project/Area Number |
22840039
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
眞崎 聡 学習院大学, 理学部, 助教 (20580492)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / 数理物理 / 定在波解 / 進行波解 |
Research Abstract |
本年度は、空間遠方で増大する非局所的非線型項をもつシュレディンガー方程式の解の存在を確立した前年度からさらに踏み込んで、それら解の時間大域的な挙動を調べる研究へと進んだ。特に、非線型相互作用が引力として働くモデルに重点を置いて考察を行った。 研究の結果、非局所的非線型項の空間遠方における増大度が2次以下の場合には、定在波解、特に基底状態解が存在することが分かった。なかでも、非線型相互作用を記述するポテンシャルがちょうど2次である場合には単一のピークを持つすべての基底状態解・励起状態解を陽に求めることができた。これは大変珍しい例で、価値が高いと思われる。さらには、それを用いることによって、Grillakis-Shatah-Straussらによる非線型シュレディンガー方程式の定在波の一般理論に対して、その理論の限界を示唆するような興味深い例を与えることができた。また、ピークが一つだけである単純な定在波解だけでなく、複数のピークが互いに回転しつつ、かつそれらの重心が等速直線運動をする例など、より複雑な解を構成することもできた。 この研究を通して、今回私が取り扱ったモデル方程式では、よく考察されている非線型項を持つ他のモデルでは、現段階では到底分からないレベルまで詳しくその性質を調べることができる、ということが分かった。このような空間遠方で増大する非局所的非線型項特有の性質が明らかになっただけでなく、非線型シュレディンガー方程式における定在波解の理論に重要な例を与えることも同時にでき、理論の深みが増した。
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