2010 Fiscal Year Annual Research Report
中性子回折実験で解き明かす氷・岩石混合物のレオロジー
Project/Area Number |
22840049
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
保井 みなみ 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応川研究部門, 博士研究員 (30583843)
|
Keywords | 氷衞星 / 氷・岩石混合物 / レオロジー / 変形機構 / 中性子回折 / 氷粒子粒径 / 流動則 / 変形強度 |
Research Abstract |
氷衛星の熱進化を解明するためのレオロジーモデルを構築するためには、氷・岩石混合物の塑性変形に寄与する変形機構を明らかにする必要がある。本年度は、変形機構を示す結晶粒径や配向と変形強度の変化を同時に測定するための装置開発とその予備実験を行った。 実験装置は、既存の中性子回折用圧密装置の圧密システム部分を一軸型クリープ実験(一定応力)装置に取り替えることで、簡易的に作成した。また、歪みを測定するためのシステムを今回は導入せず、応力緩和に伴い回折パターンが変化するかどうかの確認だけを行った。応力は油圧ポンプを用いて与え、1~4MPaと変化させた。試料は中性子回折実験でよく用いられる重水氷を用いた。その結果、結晶粒径や配向の変化を示す回折パターン上のピーク強度ど半値幅の変化は見られなかった。この原因として、ビーム径と氷粒子の粒径がほぼ同じ(約1mm)で1つの単結晶しか見ておらず、mm単位の試料変形量では、局所的な単結晶領域で結晶粒や配向の変化が回折パターンにあらわれるには変化量として極小すぎたことが考えられる。そのため、より小さな粒径を持った氷・岩石混合物を用いて実験を行う必要があると考えた。しかし、モデル構築に必要な流動則のデータが1mm以下の氷粒径をもった氷・岩石混合物の場合は全く無い。そこで、先行研究で得られている粒径1mmの氷・岩石混合物のデータを1mm以下の氷粒径の場合でも使用できるかを確認するため、一軸圧縮実験を行って変形強度を調べる実験を行った。試料は軽水氷と直径1μm、1mmのガラスビーズを質量含有率で30wt.%混ぜたものを用意し、氷の粒径は約100μmとした。その結果、1mmガラス混合氷は,直径1mmの氷粒径をもつ1mmガラス混合氷と流動則はほぼ一致したが、1μmガラス混合氷は氷粒径が小さくなると,変形強度が小さくなり、流動則も変化することがわかった。
|
Research Products
(8 results)