2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22850002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 健太 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (20432883)
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Keywords | イオン液体 / 集団的ダイナミクス / X線非弾性散乱実験 / 中性子スピンエコー実験 |
Research Abstract |
本研究では、イオン液体(IL)中で構成カチオンおよびアニオンが集団化した"ILイオン集団"に焦点をあて、そのイオン集団の構造-ダイナミクス相関を明らかにすることを目的とした。X線・中性子による散乱実験を基軸として、イオン液体のアルキル鎖長依存性(ナノ不均一構造形成の効果)の観点から研究を進めた。1-alkyl-3-methylimidazolium bis(trinuoromethanesulfonyl)amide,[CnmIm][TFSA]を対象として(アルキル鎖長数,n=2-12)、非弾性X線散乱(IXS)により比較的早い集団運動を(ピコ秒)、中性子スピンエコー(NSE)実験により遅い集団運動(ナノ・サブマイクロ秒)を評価した。また、中性子散乱実験では重水素化サンプルが必要となるため、重水素化[CnmIm][TFSA]合成のための合成システムを研究室内に構築した。IXS実験では、n=2-6で明瞭なIXSスペクトルが観測され、解析で得られる動的構造因子や中間散乱関数のアルキル鎖長依存性を評価した。重水素化[C12mIm][TFSA]に対してNSE実験を行い、得られた中間散乱関数の解析を行ったところ、ナノ不均一構造に由来する小角散乱(プレピーク)が現れるQ領域においてnsオーダーの緩和が現れることが明らかになった。現在、MDシミュレーションを用いて中間散乱関数を理論的に見積もり、実測値との比較・検討および集団運動の成分帰属を行っている。
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Research Products
(10 results)