2010 Fiscal Year Annual Research Report
PNA/DNAインベージョン複合体の固定化を利用したゲノムDNA高次構造の解析
Project/Area Number |
22850004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
愛場 雄一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (10581085)
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Keywords | 核酸 / バイオテクノロジー / 遺伝子 / ゲノム / PNA |
Research Abstract |
ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid:PNA)は、DNAの主鎖骨格をペプチド結合に置き換えた人工核酸であり、リン酸の負電荷による反発がないことから、他の核酸アナログとは一線を画す非常に高いDNAとの親和性を有している。これによりPNAは、ストランド・インベージョン(2本鎖DNAに潜り込み新たに2組のPNA/DNA2本鎖を形成する現象)による他の核酸アナログでは不可能な「直接的な2本鎖DNA認識」が可能となっている。本研究では、PNAによるインベージョンの生体内応用を志向し、化学的なアプローチから「インベージョンをより効率的かつ、安定化するための新規修飾PNAの設計・開発」を行った。これが達成されれば、DNA高次構造を反映したインベージョン効率の変動を利用し、生体内でのDNA高次構造を直接的に観察するプローブの開発など、様々な応用が可能となる。 具体的には、インベージョン複合体の安定化および、固定化という2つのアプローチから検討を進めた。まず、カチオニックペプチドとPNAとのコンジュゲーションによる静電引力を利用した安定化を試みた。この際、最終的な生体内応用を志向しカチオニックとしてNLS(核移行シグナル;PKKKRKV)を選択した。これに加え、PNA中にビオチン残基を導入し、ストレプトアビジンとの強固な相互作用を利用したインベージョン複合体の固定化についても検討を行った。その結果、いずれの場合でも目的とするインベージョン複合体の安定化を示唆する結果が得られた。 最終的な生体内でのDNAの高次構造の直接観測までには至らなかったが、その前検討としてNLS導入PNAをヒト培養細胞内に導入し、蛍光顕微鏡観察による予備的検討も行った。その結果、期待通りにPNA-NLSの核内への局在が確認され、NLSがPNAにコンジュゲートした状態でもきちんと機能していることが確認できた。それに加え、反復配列をもつテロメア領域に対するインベージョンなども検討を行った。以上の結果は、今後細胞内PNAプローブを開発する上で非常に重要な知見である。
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