2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性高歪みジインの開発と生体分子化学修飾への応用
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22850005
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 優 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (10583750)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 生体分子の化学修飾 / クリック反応 / 高歪みアルキン / 1,3-双極子 / 付加環化反応 / 立体障害 / アジド |
Research Abstract |
生命現象解明のために、生体内での生体分子のふるまいを知る手法として、生体分子検出法が極めて重要である。従って、優れた生体分子検出法の開発は、生命科学を大きく進展させるために必須の研究課題と言える。最近我々は、高度に歪んだアルキン部位を2つ有するSondheimerジインに着目し、アジド部位を有する2つの化合物との連結、すなわち、目的の生体分子との連結と蛍光能などを有する小分子との連結を一挙に行う新手法(ダブルクリック法)の開発に成功した。従来の方法では、目的に応じてその都度異なるモノイン誘導体を合成する必要があったが、ダブルクリック法は高歪みジインを共通に用いることで多様な研究目的に柔軟に対応できる簡便な手法である。しかし、第1世代のSondheimerジインを用いるダブルクリック法は、修飾効率が未だ十分とは言えず、改善の余地が残されている。とくに、微量の生体分子の化学修飾においては、格段の効率向上が求められる。そこで本研究では、本法の最適化を目指し、究極的な生体分子検出法の開発を目指した。具体的には、水溶性を向上させた高歪みジインの合成を指向し、ジインの新しい合成法の開発に着手した。2度の薗頭反応によるジインの簡便合成は未だ達成できていないが、従来法に代わるジインの大量合成法を開発することができた。すなわち、安価なα,α'-ジクロロ-o-キシレンを出発原料とし、スルフィン酸ナトリウムとの反応の後、2-ニトロプロパンを用いる酸化反応を行うことで、ジインの前駆体を効率的に合成できることを見いだした。本法を利用することで、安価な原料からジインを大量に供給することができるようになった。 さらに、ダブルクリック反応の検討の途上において、両オルト位にかさ高い置換基を有する芳香族アジド化合物が、その立体障害にも関わらず、ダブルクリック反応において顕著に高い反応性を有することを見いだした。
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