2011 Fiscal Year Annual Research Report
共役高分子のシングルファイバーを前駆体とする炭素ナノ繊維の創成と異方導電性の解明
Project/Area Number |
22850009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松下 哲士 京都大学, 工学研究科, 助教 (90589186)
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Keywords | 液晶 / 共役高分子 / ナノファイバー / 導電性 / 炭素化 |
Research Abstract |
本研究では、ネマチック液晶(N-LC)を異方性反応場として合成した巨視的配向ポリアセチレン(PA)薄膜を前駆体とし、その超音波処理により、PAシングルナノファイバーを調製する。次に、得られたPAナノファイバーの形態保持炭素化により、その形状と形態をそのまま保持した、絡み合いのないグラファイトナノファイバーの創成を目指す。また、生成したグラファイトファイバーの異方導電性の発現を試みる。実施した研究内容は以下の通りである。 (1)N-LCにチーグラー・ナッタ触媒を加え、異方性反応場を構築した。次に、液晶反応場を流動配向により配向させ、巨視的配向PA薄膜を合成した。 (2)合成したPA薄膜の小片を適当な有機溶媒に浸け、数時間超音波を照射し、溶媒中で一様に分散させた。その電界走査型(FE-SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、アスペクト比の高いシングルナノファイバーの形成を確認した。 (3)調製したシングルナノファイバーは、ヨウ素気体にさらすことでドーピングを行なった。ドーピング濃度は重量増加を計算することで見積もった。 (4)ドープしたPAファイバーを不活性ガス下、800度で炭素化した。得られた炭素粉末のFE-SEM観察により、半径が100nm以下、長さが20μm以上のカーボンシングルナノファイバーの形成を確認した。 (5)生成したカーボンファイバーの2600度処理により、グラファイトナノファイバーを調製した。 以上、有機高分子を炭素化前駆体とする、これまでにないグラファイトナノファイバーの調製手法を確立した。本グラファイトナノファイバーが有する絡み合いのない一次元構造と導電性により、新規な電気・磁気物性の発現が期待される。
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Research Products
(17 results)