2010 Fiscal Year Annual Research Report
グリコシルアジドの一段階水中合成を基盤とする簡便な複合糖質合成法の開拓
Project/Area Number |
22850010
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 知成 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (70585695)
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Keywords | オリゴ糖 / 脱水縮合剤 / 直接活性化 / 無保護 / クリックケミストリー |
Research Abstract |
糖ペプチド、糖鎖高分子等の複合糖質の化学合成は、これまで極めて多く報告されているが、糖に多数存在するヒドロキシ基の保護・脱保護の工程が不可欠であるため、単糖や二糖等、比較的低分子量の糖類を対象に行われ、高分子量のオリゴ糖鎖に対して簡便かつ効率的に適用することは非常に困難であった。本研究では、糖に多数存在するヒドロキシ基の保護を不要とすることにより、単糖から高分子量のオリゴ糖鎖にまで適用可能で簡便な複合糖質の化学合成法の確立を目指し、様々な有用複合糖質合成における新規合成ルートを開拓することを目的とする。 市販の水溶性脱水縮合剤2-chloro-1,3-dimethylimidazolinium chloride (DMC)とアジ化ナトリウムを用いて、無保護の単糖、二糖、さらには十糖から構成される二分岐シアロ複合糖鎖を原料として、糖に多数存在するヒドロキシ基を保護することなく、水溶媒中でアノマー位の直接アジド化反応を行い、生成物であるグリコシルアジドを単離した。原料のひとつとした二分岐シアロ複合糖鎖は、卵黄から得られる糖ペプチドから、糖加水分解酵素(endo-β-N-acetylglucosaminidase)による糖鎖の切り出し(加水分解反応)とゲルろ過クロマトグラフィを経て精製した。続いて、アジド基とアセチレン基間での銅触媒によるクリックケミストリー(Huisgen反応)を行うため、アセチレン基を有する高分子担体を調製した。現在、Huisgen反応により糖鎖付加した高分子担体を分析中である。
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Research Products
(1 results)