2010 Fiscal Year Annual Research Report
In-situ X線吸収分光法による水分解光触媒の表面観察
Project/Area Number |
22850015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 真明 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (00582206)
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Keywords | 光触媒 / X線吸収分光 / 電気化学 / 水素生成 / 電荷移動 / プロトン吸着 / 助触媒 / エネルギー変換 |
Research Abstract |
太陽光で水から水素を製造する光触媒は、エネルギー問題を本質的に解決できる可能性があると期待されている。実用化のためにはさらなるエネルギー変換効率の向上が必須であり、光触媒反応を支配する要因を明らかにすることが望まれている。光触媒上で励起された電子は助触媒に移動して水素を発生するため、光照射中に助触媒表面にプロトンが吸着すると予想されているが、実際に光触媒反応中に助触媒表面の電子状態を観測した例はない。そこで本研究では、Pt上へのプロトン吸着を溶液中で高感度に観測できる全反射蛍光X線吸収分光法を利用し、光照射下で光触媒上の助触媒の電子状態を調べ、光触媒活性に与える影響を明らかにすることを目的とした。 全反射蛍光線吸収分光法用にテフロン製電気化学セルを作製し、高エネルギー加速器研究機構・フォトンファクトリーのBL-12Cで実験を行った。塩化白金酸を加えたメタノール水溶液中でTiO_2(110)単結晶基板に紫外光を照射し、基板表面にPt粒子を光電着してPt/TiO_2光触媒サンプルを得た。サンプル(作用電極)、Pt電極(対極)、Ag/AgCl電極(参照電極)をセルにセットし、pH3.0の0.5MNa_2SO_4水溶液を流し込み、Arガスでバブリングした。セルは位置制御機構上で0.1mm単位の精度で調節し、蛍光X線を高感度に検出できる多素子半導体検出器を用いて、電気化学制御下で全反射蛍光X線吸収分光測定を行った。 水溶液中にサンプルを浸して測定を行った結果、11560eV付近にピークトップを持つPt L_<III>端X線吸収スペクトルが得られた。続いて、-0.1~1.3Vvs.RHEで電位をコントロールしながら測定を行ったが、Pt上へのプロトン吸着は観測できなかった。これは、調製したPt粒子が大きすぎてバルクの信号が強すぎるためであり、今後は光触媒表面上にPtナノ粒子を電着して測定を行う予定である。
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