2010 Fiscal Year Annual Research Report
低温合成法を用いた遷移金属酸化物のアニオン組成制御の研究
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22850019
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
辻本 吉廣 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, NIMSポスドク研究員 (50584075)
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Keywords | 酸フッ化物 / 遷移金属酸化物 / 高圧合成法 / 低温フッ素化反応 |
Research Abstract |
BaTiO3の強誘電性やYBa2Cu307-dの超伝導に代表されるように,遷移金属酸化物はその豊かな物性で知られているが,それは陽イオンの豊富な組み合わせが可能なため,物性と密接な関係にある構造を細かく制御できることに起因している.一方,ハロゲン,窒素などの陰イオンによる制御に関する報告例は圧倒的に少なく,構造・物性両面で系統的な研究はまだ十分に行われていない.その理由として,陰イオンを含む化学種の蒸気圧が大きく異なり,精密な化学組成制御が難しくなるからである. 本研究計画は,通常用いられる高温固相反応とは異なるアプローチ,つまり高圧合成法と低温フッ素化反応法を用いることによって,酸素を含めた陰イオンの組成の精密制御を試みた.その結果,高圧合成法によって初めての層状コバルト酸フッ化物Sr2CoO3Fの合成に成功した.室温より高い温度で反強磁性秩序する傾向を示すことを磁化率測定によって確認した.さらに,テフロンポリマーを用いた低温フッ素化法によって,層状鉄酸フッ化物Sr3Fe205.44F1.56の合成に成功し,鉄イオンが5価と3価に電荷不均化していることをメスバウアー測定によって見出した.今回得られた物質の磁性は,ともにフッ素を含まない酸化物のそれとは大きく異なり,アニオン置換の効果が顕著に表れた例である.
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Research Products
(5 results)