2011 Fiscal Year Annual Research Report
その場重合界面活性剤で被覆したカーボンナノチューブを架橋剤とするヒドロゲルの開発
Project/Area Number |
22850020
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大谷 政孝 独立行政法人理化学研究所, 生体模倣材料研究チーム, 特別研究員 (20585004)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 重合性界面活性剤 / 鋳型重合 / 高分子ゲル / 配向制御 / 磁場 / ミセル / 光学異方性 |
Research Abstract |
本申請課題では、カーボンナノチューブ(CNT)の表面構造を重合性界面活性剤で巧みに制御することで新規なゲル化架橋剤を創製し、それらを骨格とした高強度なヒドロゲルの開発を目指す。具体的には、イオン性界面活性剤に重合官能基を導入し、水中でCNTを鋳型としてその場重合することで、孤立分散・水溶化した重合ナノファイバーを構築する。本ナノファイバー構造体は、鋳型としたCNTに由来する高いアスペクト比と広い表面積を有し、その表面を複数の界面活性剤で覆われた構造となるため、非常に多くの架橋点を形成し得るゲル化架橋剤として機能することが期待できる。また、骨格のCNTに由来する高い機械的強度も持ち合わせている。本研究計画が達成されれば、その不溶性・凝集性のため取り扱いが困難であったCNTを、本来の性質を損なうことなく容易に分散可能な高分子ナノファイバーとして取り扱うことが可能となり、その応用範囲が飛躍的に広がると期待される。 今年度は本研究課題の最終段階として、CNTを鋳型とした高分子複合材料の構築とゲル化について検討した。昨年度新たに開発した重合性界面活性剤を用いてCNTを孤立分散化・可溶化した後、鋳型重合によりCNT表面をポリマーで被覆することで、CNT内包重合ナノファイバーを構築することに成功した。得られたナノファイバーの構造・光学特性は電子顕微鏡、各種分光測定によって詳細に解析した。また、系中にアクリル系モノマーを共存させて重合を行うと、溶液中での分散状態・光学特性を完全に保持したまま瞬時にゲルとして固定化することができた。さらに、ゲル化反応中の試料に外部磁場を印加すると、顕著な構造・光学異方性を示すCNT配向ゲルが得られた。一連の結果は、異方的な電気・熱伝導性、光学特性を有する機能性ソフトマテリアルの開発へと繋がるものである。
|