2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜閉塞を引き起こしている糖及びタンパク質の構造解析と、その結果に基づく膜閉塞発生機構の検討
Project/Area Number |
22860001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三好 太郎 北海道大学, 環境ナノ・バイオ工学研究センター, 博士研究員 (80587791)
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Keywords | 膜分離活性汚泥法 / 膜閉塞 / プロテオーム解析 / MALDI-TOF/MS |
Research Abstract |
膜閉塞に関与するタンパク質の解析については、前年度までに2D-PAGEとN末端アミノ酸配列解析を実施することで、Pseudomonas属に属する細菌に由来するOprFとOprDという2種類のタンパク質を同定することに成功していた。しかし、前年度終了時においては、特定のMBRより採取した膜閉塞成分中のタンパク質しか同定することができておらず、結果の一般性が乏しかった。そこで、本年度は、これまで実験に使用していた浸漬型MBRとは膜ろ過方式が大きく異なる槽外型MBRにおいて膜閉塞を引き起こしていたタンパク質の同定を試みたが、槽外型MBRにおける膜閉塞成分中においても前年度と全く同じOprF及びOprDが検出された。本年度得られた結果は、これらのタンパク質がMBRの運転条件にかかわらず広く膜閉塞に関与している可能性を示唆するものである。膜閉塞多糖の解析については、前年度までに糖を比較的温和な酸性条件下において部分的に加水分解し、糖鎖構造を部分的に保持した断片を生成させたうえでマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析器(MALDI-TOF/MS)分析に供することによって膜閉塞を引き起こしている多糖の構造に関する情報を取得できる感触を得ていた。前年度終了時点において、本研究で検討対象としている膜閉塞多糖に対する適切な部分加水分解条件については明らかとなっていなかったことから、本年度は試行錯誤的に最適な部分加水分解条件を探索することを目的とした。本実験では、添加する酸の濃度、加水分解時の温度、及び加水分解時間の影響を検討したが、これらはいずれも加水分解結果に重大な影響を及ぼす因子であることが明らかとなり、膜閉塞多糖の構造解析にMALDI-TOF/MS分析を適用するには、一定以上濃度の酸で、一定以上の時間反応させて部分加水分解を行う必要があることが明らかとなった。また、反応温度についても、最適な範囲が存在することが示唆された。
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