2011 Fiscal Year Annual Research Report
MOSトランジスタの低ノイズ化へ向けたデバイス構造最適化
Project/Area Number |
22860004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 理人 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40581294)
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Keywords | CMOSイメージセンサ / MOSトランジスタ / シリコン / ノイズ / Random Telegraph Signalノイズ |
Research Abstract |
今年度は、昨年度にノイズ低減効果が大きいことを示した埋め込みチャンネル型MOSトランジスタ構造のノイズ低減のメカニズムを明らかにし、CMOSイメージセンサの読出しノイズ低減に応用可能なデバイス構造・製造方法を見出すために、100万個を超えるトランジスタの統計的なノイズ特性計測を行い、Random Telegraph Signal (RTS)ノイズの発生頻度、振幅、時定数の評価を従来MOSトランジスタ構造と比較して行った。 ゲート長、ゲート幅が0.22μm、0.24μmのトランジスタサイズにおいて、RTSノイズの振幅が1mVを超えるトランジスタの発生頻度は、従来構造において0.73%だったのに対し、埋め込みn層幅が60nmである構造において0.013%であり約1/60に低減された。RTSノイズの強度を示す振幅と、電荷とトラップの相互作用の頻度を示す時定数を抽出した結果、従来構造と比べ、埋め込みn層幅が60nmである構造では、振幅が大きい程、発生頻度の減少傾向がより大きいことと、1~20μsecの比較的短い時定数の発生割合が従来構造と比べて減少することが明らかになった。 デバイスシミュレーションの結果から、埋め込みチャンネル型MOSトランジスタでは、チャンネルの位置が界面から遠いと共に、チャンネルが深さ方向により広がって形成されることで、チャンネルの細分化が抑制されRTSノイズの振幅が減少することと、トラップとの相互作用が弱まり短い時定数の発生頻度が減少することが明らかになった。 さらに、チャンネル長が0.5μm程度であれば、CMOSイメージセンサのソースフォロワ回路素子に求められるしきい値ばらつき、増幅率の線形性と線形性の確保できる動作範囲等の性能を満たすことが実データより示された。 本構造は、当該トランジスタの製造工程中、チャネルイオン注入工程を変更するだけで製造可能であり、性能面・製造面からCMOSイメージセンサに適用でき、常温において光子1個の検出が可能である究極の感度を有するイメージセンサの創出のための1方策として大きく期待される。
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