2010 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性-誘電性を発現するナノヘテロ複相構造薄膜の創製
Project/Area Number |
22860007
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
張 亦文 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教育研究支援者 (30579959)
|
Keywords | 複相構造薄膜 / 強磁性 / 誘電性 / 磁気異方性 / 複合機能 |
Research Abstract |
目的:次世代複合機能応答デバイス材料を得るための第一歩として、本研究の目的は「室温で強磁性と誘電特性とを同時に発現する複合材料」を、ナノヘテロ複相構造薄膜で実現することである。本年度はCo-Ti-N系膜をマグネトロンスパッタ法により、広い組成範囲や成膜条件を検討しながら、作製した。なお、Ti-N系に着目した理由は、TiN化合物が持つ高化学的安定性である。結果:Co-TiN(化学量論比)組成系の広範囲(40~80at.%Co)で、軟磁性を示す膜を得ることが出来た。膜はナノヘテロ構造を有し(XRD)、Co濃度を変化させることにより、14-6kGの範囲で飽和磁化を変化させることができる。また一軸磁気異方性を有し、その大きさは組成比に関係がなく、10 Oe前後である。興味ある結果は、膜が100-400の大きな透磁率を示し、その共鳴点である500MHz~2GHzまで保持することである。期待通りに膜は化学的に安定であるばかりでなく、その軟磁性(保磁力)は500℃まで普遍である。しかし、TiN化合物の電気比抵抗がそれほど大きくないために、軟磁性を示す組成範囲のCo-TiN膜には、見るべき誘電特性が得られなかった。意義等:得られたCo-TiN軟磁性膜は、GHz帯域まで大きな透磁率を保持し、かつ熱的に、化学的に安定であることから、従来にない実用上極めて優れた高周波軟磁性材料ということが出来る。今後、車載用部品(エンジン系や駆動系周辺の高周波インダクタなどの電子部品)や、医療関係や化学プラントの中で用いられる電子部品(磁気シールドなど)を始とする様々な産業分野への応用が期待できる。
|