2011 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性-誘電性を発現するナノへテロ複相構造薄膜の創製
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22860007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
張 亦文 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教育研究支援者 (30579959)
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Keywords | Co-TiN / ナノヘテロ複相構造 / 高周波軟磁気性 / 耐熱性 / 電磁波ノイズ抑制効果 |
Research Abstract |
研究目的を達成するために申請時に作成した研究計画に基づき研究を推進してきた。本研究では、高い耐熱性と化学的に安定なTiNをマトリックスとする、Co-TiNナノヘテロ複相構造膜を作製し、その磁気特性、組成そして構造との相関を系統的に調べた。また得られる膜の応用化まで加えて達成できた。2010年度では、Co_x-(TiN)_<1-x>(x=40-80at.%、TiNは化学量論比組成)のCoの広い組成範囲で、軟磁性を示すナノヘテロ複相構造膜を得ることを見出した。 2011年度では、上記の軟磁性Co-TiNナノヘテロ複相構造膜を応用化の観点から鋭意に研究を推進させ、以下の成果を得ることが出来た。 1)静磁界(=1 kOe)中300℃付近の温度で熱処理を施して得られた軟磁性Co-TiN膜は、約500の透磁率を有し、その値を1.0~1.6GHzの自然共鳴点付近まで保持できた。 2)1)の軟磁性膜の耐熱性に関する知見を得るために、構造変化に敏感な特性である保磁力の熱処理温度変化を調べた。膜の保磁力(=~5 Oe)は熱処理温度600℃xlhr.まで不変であり、本軟磁性Co-TiN膜は熱的に極めて安定な材料であることを明らかにした。 3) 1)、2)の結果は応用上極めて有益な知見である。即ち、耐熱性に優れていることから本膜はCMOSデバイスへの応用が期待できる。また1.0~2.0GHz付近に自然共鳴に起因する大きな透磁率の虚数部のピークが観察されることから、この付近の周波数帯域で電磁波ノイズの大きな抑制効果が期待できる。既に一部の抑制効果を実験的に検討し、期待通りの結果を得ている。また、同じ組成膜でも膜厚を調整することにより、抑制効果の強度および周波数帯域をコントロールすることが可能であることを見出した。
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