2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22860010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
海老原 格 筑波大学, システム情報系, 助教 (80581602)
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Keywords | 水中音響 / 情報通信工学 |
Research Abstract |
本研究はこれまで主に理論やシミュレーションで評価されてきた直交信号分割多重(OSDM)を用いる水中音響通信(マルチパス測定型水中音響多重通信)の性能を実験により確認するとともに,ドップラーシフトに対する対策を検討することを目的としている. 平成22年度はドップラーシフトに対する対策を検討し,その効果をシミュレーションベースで検討した.具体的には,ドップラーシフトが小さな環境において正しくデータ伝送が行うために,直交周波数分割多重(OFDM)で提案されているドップラーシフト補償法をOSDMに適用した.その結果,実用上想定されるドップラーシフト環境で正しくデータ伝送が行えることが確認されている.これらの実績を踏まえ,平成23年度は前年度に検討されたドップラーシフト補償法をOSDMに適用し,水槽実験によりその効果を確認した.まず実験水槽内に送受波器を固定し,水中音響通信を行った.その結果,時間長にして10msを超える重いマルチパス環境においても正しくメッセージが伝送できることを確認した.次に送波器が移動させることで,マルチパスとドップラーシフトが混在する環境での水中音響通信を行った.その結果,前年度に検討したドップラーシフト補償法が有効に機能することを確認した.この実験では信号長を様々に変化させながら通信を行ったが,条件によっては伝送品質が劣化することが確認された.これは伝送路の時変動によるドップラースプレッドに起因する.従来のOSDMに関する研究は,その多くが通信路は静的であると仮定していることから,ドップラースプレッドの影響について検討を行った.ドップラースプレッドの大きさに対する通信品質の関係をシミュレーションと実験により確認した.そして,信号長を可能な限り短くすることで重いマルチパスとドップラースプレッドの影響が顕著な環境下でも,OSDMによる水中音響通信が実現可能な見通しを得た.
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Research Products
(4 results)