2010 Fiscal Year Annual Research Report
汚濁物質の沈降・堆積特性及び重金属の毒性ポテンシャルを考慮した運河の効用評価
Project/Area Number |
22860018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 啓輔 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任研究員 (60584399)
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Keywords | 底質汚染 / 沈降粒子 / 堆積粒子 / 重金属 / 形態評価 / 逐次抽出法 / XAFS法 |
Research Abstract |
今年度は、東京湾の湾奥部運河地帯において20地点の底質を柱状で採取し、底質の性状の違いを検討した。また同時に底質採取地点の海水を採取することによって、沈降・堆積する可能性のある粒子についても検討を行った。 底質の堆積状況と堆積粒子の有機物量を評価するため、底質の含水率及び強熱減量の測定を行った。底質の含水率及び強熱減量は表層ほど高く、深度が大きくなるにつれて小さくなる傾向が見られた。しかし、各地点の含水率及び強熱減量の値には違いが見られた。船舶の往来等の底質を乱す要因となるものの違いによって底質の含水率が異なることが示唆され、底質が乱されにくい地点では、粒径の小さな粒子によって構成されていることが推測された。この粒径の小さな粒子によって構成されていることが、高い強熱減量値を示す1つの原因としても推察された。 海水中のSSと濁度を比較することによって、沈降・堆積する可能性のある懸濁粒子について評価を行った。海水中のSS及び濁度には良い相関関係が見られなかったことから、各地点に存在している懸濁粒子は異なる質を示すものであることが示唆された。それゆえ、各地点における底質を構成している粒子も異なることが考えられた。 今後は、上記の考察を深めるため、各地点の底質の粒径分布の測定を行う。さらに、各層のPb210及びCs137を測定することにより底質の年代分析を行う。これにより、年間どの程度の粒子が堆積しているのかを推算することができる。さらに、重金属の測定について分析をすすめる。用いる形態評価手法は、逐次抽出法とXAFS法である。XAFS法については、来年度の使用許可を既に得ており、準備は整っている。
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