2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22860019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 明保 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (20581995)
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Keywords | 超伝導材料 / ナノ材料 / 環境材料 |
Research Abstract |
二ホウ化マグネシウム(MgB_2)超伝導体の応用に向けて、MgB_2多結晶材料の臨界電流特性の向上を目的として研究を行った。MgB_2多結晶材料の作製方法は、in-situ法とex-situ法に大別される。マグネシウム(Mg)とホウ素(B)の混合原料を熱処理することによりMgB_2を反応合成するin-situ法からは、結晶粒間の結合が強く、比較的高い臨界電流密度を持つMgB_2多結晶体が容易に得られるが、原理的に低い充填密度(約50%)が電気的結合度(コネクティビティ)を抑制することが明らかになっている。一方、既製のMgB_2を容器に充填後、加工・熱処理を施すex-situ法では、高密度、均一な組織が得られるなどのメリットがあるが、in-situ法よりも結晶粒間の結合が弱いことが問題であった。本研究では、潜在的に高い臨界電流特性が期待できるex-situ法に着目した。平成23年度には、高純度のex-situ法MgB_2多結晶バルク体試料について電子顕微鏡を用いた微細組織観察と詳細な電磁特性評価を行った。以下に得られた成果を示す。 1.既製のMgB_2粉末を容器に充填後、加工・熱処理を加えることでMgB_2多結晶体を得るex-situ法において、900℃程度の高温で長時間の熱処理を行うことによって、試料のコネクティビティと臨界電流密度が大幅に向上することを見出した。 2.結晶粒界におけるMgB_2の結合状態に関する評価を行い、特性向上がみられた試料では個々のMgB_2結晶粒同士の結合が強くなっており、結合面積が増加していることが分かった。すなわち、高温・長時間の熱処理によりMgB_2結晶粒の自己焼結反応が生じていることが示唆された。MgB_2多結晶体における自己焼結は報告例が少なく、本成果はMgB_2高特性化への新しい指針となるものと期待される。
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