2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノコンポジット絶縁材料による直流電力機器の高性能化に関する研究
Project/Area Number |
22860031
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
栗本 宗明 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70580546)
|
Keywords | ナノコンポジット絶縁材料 / 直流電気絶縁特性の解明 / 電力機器の小型化 / 絶縁破壊 / 空間電荷 / 伝導電流 |
Research Abstract |
本研究では,ナノコンポジット絶縁材料の一連の絶縁破壊メカニズムを検討することによって,その直流電気絶縁物性を解明し,有力な直流電気絶縁材料の一つとしてその実用化に対する基本的指針を明らかにすることを目的とする.直流電気絶縁破壊現象は,空間電荷の蓄積を経て絶縁破壊に至るプロセスを有しており,この一連の破壊プロセスの中で材料特性を検討する必要がある.本年度は,ナノコンポジットにおける空間電荷の蓄積が直流絶縁破壊特牲に与える影響と誘電基礎特性を調査した.その結果以下の知見が得られた.(1)MgOナノフィラーをLDPEに添加したナノコンポジット(MgO/LDPEナノコンポジット)に直流ランプ電圧を印加し,直流絶縁破壊特性を取得した.その結果,MgO/LDPEナノコンポジットは無添加LDPEより高い直流絶縁破壊の強さを有することがわかった.(2)MgO/LDPEナノコンポジットにプレストレス(前課電)を加え試料内部に空間電荷を蓄積させた後に,絶縁破壊特性を取得した.その結果,プレストレス電圧の増加と共に,無添加LDPEの絶縁破壊の強さは低下する一方で,ナノコンポジットの絶縁破壊の強さは上昇することがわかった.これは,プレストレス中にナノコンポジット内部に形成されたホモ空間電荷がランプ電圧下において伝導電流の上昇を抑制するため,絶縁破壊の強さを上昇させた可能性を示唆している.(3)ナノサイズ構造を持つアルミナ/エポキシコンポジットを用いて,ナノサイズ構造が誘電特性に与える影響を調査した結果,ナノサイズ構造を持つアルミナ/エポキシコンポジットは,通常のアルミナエポキシコンポジットよりも低誘電特性化することがわかった.
|
Research Products
(3 results)