2010 Fiscal Year Annual Research Report
交通行動調査の最適設計に向けた変動・変化の構造化手法の開発及びその適用
Project/Area Number |
22860042
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
力石 真 広島大学, 国際協力研究科, 特任助教 (90585845)
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Keywords | 交通行動調査 / 変動・変化 / German Mobility Panel / 旅行時間消費 |
Research Abstract |
交通計画の実現過程においては、信頼できる精度の高い交通行動調査が必要不可欠である。しかしながら、社会状況の変化に対応したデータを効率的に収集するための方法は確立しておらず、現状では、交通調査体系を再考するための十分な基準・指針がない。そこで本研究課題では、「変動」と「変化」を峻別し構造化する手法の開発を行い、サンプル数・調査期間・調査間隔のトレードオフの観点から見た交通行動調査効率化のための基礎情報の提供を試みる。本年度は,特に方法論の開発に焦点を当て研究を進めた.具体的には,1)交通行動に内在する変動・変化を定量的かつ同時に峻別する手法を開発し、2)ドイツにおいて過去15年間に渡り毎年行われてきた1週間の交通行動調査を用いて旅行時間消費を対象とした実証分析を行った.結果,提案手法の有用性が確認されるとともに,以下に述べる幾つかの有用な知見が得られた.まず,旅行時間消費の平均値に対する統計的に有意な経年変化は観測されなかった一方,平均値のまわりのばらつき,特に個人内変動については有意な変化が観測された.この結果は,調査を実施するに当たって,個人内変動を観測できる長期的なデータ取得の必要性を指摘するものであるとともに,平均値としての旅行時間消費は経年的に変化しないものの,その内部構造を見ると一定の傾向を持った変化が生じている可能性を示唆するものである.これより,旅行時間消費の文脈において変動と変化を峻別することにより,近年幾つかの研究で指摘されている旅行時間消費に基づく便益評価の見直しのための基礎情報を提供することができると考えられ,今後,評価手法への発展を視野に入れた研究を蓄積する必要があると考えている.
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Research Products
(5 results)