2011 Fiscal Year Annual Research Report
交通行動調査の最適設計に向けた変動・変化の構造化手法の開発及びその適用
Project/Area Number |
22860042
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
力石 真 広島大学, 国際協力研究科, 特任助教 (90585845)
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Keywords | 最適調査設計 / 交通行動の変動・変化 / 離散-連続パネル調査 / German Mobility Panel / 検出力 / サンプル数 / 調査時点数 / 調査日数 |
Research Abstract |
本研究では、連続する複数日(連続パネル)の交通行動を複数期間(離散パネル)に渡って調査する離散-連続パネル調査を対象として、(1)予算制約が存在し、かつ、施策の効果が時間軸上に非線形に変化し得る状況下において,施策効果の統計的検出力を最大化する最適化問題を定式化し、(2)ドイツにて過去15年間に渡り毎年行われてきた1週間の交通行動調査データを用いてコスト効率性の高い調査形態(サンプル数・調査時点数・1時点当たりの調査目数)を実証的に示した。 本研究より得られた主な知見は以下の通りである。 (1)検出力最大化の観点からは、変化の複雑さが増すにつれ、被験者数を増加するよりもむしろ、調査時点数や1時点あたりの調査日数を増やすことが重要であることが示唆された。 (2)施策の感度が非線形に変化する場合、A)一定水準の検出力を得るためには、非線形変化が存在しない場合と比べてより多くのサンプル数/調査時点数/1時点当たりの調査日数が必要であること、B)調査時点数及び1時点当たりの調査日数の追加コストが検出力に大きく影響することが示された。 (3)予算制約が存在する条件下では、最適なサンプル設計は、評価対象とする施策の有効性よりはむしろ、対象とする行動側面の変動構造(Wave間変動、個人間変動、個人内変動)に依存することが確認された。 本研究の学術的意義は、離散-連続パネル調査における最適調査設計手法を提案し、その有用性を実証的に示した点にある。本研究の社会的意義は、交通行動調査の精度と費用を科学的に提示することを通じて、限られた予算の効率的利用を促進する点にある。検出力最大化の観点からは、ある調査コスト条件下においては、大規模な一日の交通行動データを収集する横断型の調査よりも、小規模のサンプルであっても複数日の交通行動を繰り返し観測する縦断型の調査を採用することが望ましいことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)