Research Abstract |
昨年度使用した,石垣市沿岸のサンゴ礁水域を撮影した4枚のWorldView-2衛星画像に加え,新たに竹富島,テニアン島,Gili島(インドネシア)を撮影した3枚のサンゴ礁水域の画像を解析対象として,一般性をもつ水深推定式の構築可能性を検証した.具体的には,計7枚のWorldView-2画像と,各画像に対応する水深実測データを準備して,水深と各可視バンドの対数補正放射輝度を変量とする画像別のデータセットを作成した.個々のデータセットと,それらを結合したデータセットについて,回帰分析理論に基づく新たに開発した方法でLyzengaの水深推定式(各可視バンドの対数補正放射輝度の線形関数)の係数の組を推定した.その結果,底質・水質分布の画像間不均一性にも関わらず,結合データセットは自由度調整済み決定係数が0.931と7画像中2番目に大きく,平均水深5.073mに対して残差平方平均平方根は1,179mと,比較的優れた精度が得られた.従って,これらの水域に対して,多様な底質・水質に適用可能な一般性をもつ水深推定式を構築できたと考えられる. 当初計画していた山口湾でも,データセット作成のためにRTK-GPSを用いた深浅測量を行ったが,対応する好条件の衛星画像が得られなかった.そこで代わりに,竹富島でRTK-GPSと魚群探知機・水中カメラを用いた現地調査を行い,竹富島のデータセットを作成した次第である.山口湾の深浅測量結果の有効活用として,ニューラルネットワークによる水深推定法を開発・検証し,WorldView-2の8バンドを用いることで決定係数0.988という極めて高い精度が得られることを実証した. 当初計画していた分光放射計を用いた測定については,3回の較正を試みたものの不具合のため妥当な結果が得られず,現在,同機器の調整中である.ただし代わりに,WorldView-2の6個の可視バンドのうち,どのバンドやバンドの組が水深推定に有用であるかに関する解析を行い,いずれのバンドも有用であるが,特にBand3(緑)が際立って有用であることを明らかにした.
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