2010 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ最適化手法を用いた微分代数方程式の最適モデリング
Project/Area Number |
22860057
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高松 瑞代 中央大学, 理工学部, 助教 (70580059)
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Keywords | 組合せ的行列理論 / 混合行列理論 / 組合せ緩和 / クロネッカー標準形 / 微分代数方程式 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,組合せ最適化手法の数値解析への応用である.本研究では,混合多項式行列の小行列式の最大次数を計算する組合せ緩和法を構築した.行列束のKronecker標準形は多項式行列の小行列式の最大次数によって特徴付けられるため,本アルゴリズムによりKronecker標準形の効率的な計算法が導かれる.Kronecker標準形は,制御理論,微分代数方程式論などの多くの分野で重要な役割を果たす.Kronecker標準形の計算法は,アルゴリズムの高速化および数値誤差に対する安定性を目指して,主に数値解析の分野で研究されてきた.一方,組合せ緩和法は,組合せ的なアプローチを取り入れることで数値計算の負担を減らすという,数値計算と組合せ的手法を融合した方法である.組合せ緩和法では,組合せ的なアルゴリズムを用いて解の暫定値を求め,その妥当性を確認するステップにおいてのみ数値計算を行う.大部分で組合せ的なアルゴリズムを用いるため効率的で数値誤差に強いだけでなく,所与の行列束の疎性を保つこともできる. 本研究では,室田(1995)により多項式行列に対して提案された組合せ緩和法を,マトロイド理論を用いることで混合多項式行列に拡張した.混合多項式行列は正確な数値と独立パラメータを区別する行列であり,室田(1987)により提唱されて以来,物理システムを記述する有用な数学的道具として発展してきた.本研究により,混合多項式行列を係数行列とする微分代数方程式の指数を効率的に計算することが可能となる.さらに,本手法を線形付値独立割当問題に適用し,新たなアルゴリズムを導いた.本アルゴリズムは定数同士の基本演算しか必要としないため,多項式同士の演算が必要であるという既存研究の欠点を克服している.本研究成果は査読付国際会議Integer Programming and Combinatorial Optimizationに採択され,2011年6月に発表予定である.
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Research Products
(7 results)