2010 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池における電磁場逆解析を用いた無侵襲モニタリング手法の開発
Project/Area Number |
22860060
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岸本 喜直 東京都市大学, 工学部, 助教 (20581789)
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Keywords | 計測工学 / 燃料電池 / スマートセンサ情報システム / 計算力学 / 逆問題 |
Research Abstract |
発電効率や耐久性に優れた最適な電極配置や燃料濃度分布を有する燃料電池を実現するため,燃料電池内の電流密度分布の可視化が必要となっている.本研究では燃料電池を対象に,電磁場逆解析を用いた無侵襲モニタリング手法として,(1)燃料電池周辺に生じる磁場分布の効率的な計測手法,(2)計測した磁場データの中で逆解析に有益な情報を抽出する手法,(3)(1)および(2)を用い,燃料電池内の電流密度分布を推定する逆解析手法を開発した.本研究の具体的な研究内容と成果を以下に示す. 1.本逆解析手法は逆解析に用いる観測方程式の低感度成分を除去することで,逆解析に必要な計測データ数と計算量を大幅に減少させる.除去する成分の個数を決定するための基準には観測方程式の特異値から得られる計測量である磁束密度と未知量である電流密度の誤差率の比を用いた.これにより,燃料電池内の電流密度分布に対してSN比が高い磁場計測点の選定と注目する領域の電流密度をピンポイントで推定することを可能とした. 2.本逆解析手法の有効性を検証するため,電磁場解析シミュレータを用いたシミュレーション実験を実施した.本シミュレーション実験では電流密度の正解値を電磁場解析シミュレータに与え,磁束密度の疑似測定データを得た.得られた磁束密度の疑似測定データに本逆解析手法を適用することで得られた電流密度の推定値が,始めに与えた正解値とよく合うことを確認した。 3.本研究の成果を研究代表者のこれまでの研究であるLSI製造における電磁場逆解析を用いた無侵襲リアルタイムモニタリング手法に対しても適用し,本逆解析手法が燃料電池以外の電流密度分布推定に対しても有効であることを示した.
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