2010 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジア北部山岳地域クメール寺院のインベントリー作成
Project/Area Number |
22860062
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 桂 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (80454198)
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Keywords | カンボジア / クメール寺院 / 山岳地域 / インベントリー / 高地崇拝 |
Research Abstract |
本研究は、古代カンボジアに繁栄したクメール帝国の広域的理解を目的として、特に北部山岳地域に造営された寺院遺構のインベントリーを作成するものである。これらは概して、平野地に展開したアンコールの寺院遺構とは異なる様相を呈しており、山頂を志向する長い軸線を有する縦深型伽藍構成を特徴とすることが、従来の研究でも指摘されてきた。インド渡来の建築文化を受容し、土着の技術を用いて変容させていく過程において、ダンレック山脈を中心に整備された一大宗教拠点は、東南アジア基層文化としての「高地崇拝」の発現として注目される。本研究では、既存資料と現地調査に基づく遺跡インベントリーの作成を通じて、「聖地」の発展過程を再考することを目的としている。 平成22年度は、コー・ケーをはじめとして、プレア・ヴィヘア州(クーレン地区、チョアン・スラム地区)、およびシェム・リアップ州のクーレン山近傍に分布する縦深型の寺院遺構を対象としたジェネラル・サーベイを実施し、GPS測位および簡易実測、周辺環境調査、建築意匠・散乱遺物の記録等を行った。とりわけ周壁を前後に二つ接続した「日の字型」伽藍の発生が10世紀中葉に位置付けられることから、縦深型寺院発展の系譜の作成を試みている。資料調査では、フランス極東学院所蔵の「パルマンチエ資料」をはじめとして、未刊行の研究資料の収集と電子化を進めている。これらはpdfにて研究者向けに公開予定である。
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