Research Abstract |
本研究の目的は,NATMを用いた未固結・小土被り地山でのトンネルを掘削における,脚部補強パイル工の有効性とそのメカニズムを解明し,弾塑性理論に基づいた設計方法を提案することである。H22年度は,実際のトンネル掘削過程を模擬する数値解析を行い,脚部補強工の効果と各パラメータの影響について検討した。H23年度は,トンネルの掘削過程を模擬できる覆工模型を開発し,模型実験により脚部補強パイル工の効果について検討した。また,実トンネルの掘削過程を模擬した数値解析を行い,脚部補強パイル工と頻繁に併用されている事前地山改良工の効果とそのメカニズムについて検討を行った。 模型実験では,断面を縮小することでトンネル掘削による地盤の緩みを再現できるトンネル覆工模型を開発した。同模型をアルミ積層体による模擬地盤に設置した後,徐々にその断面を縮小させることでトンネルの掘削過程を再現し,脚部補強パイルの長さ,設置位置,設置角度,材料剛性等が地盤およびトンネルの沈下に及ぼす影響について調べた。結果,脚部補強パイルが長いほど,設置位置が低いほど,設置角度が大きいほど,材料剛性が大きいほど地盤とトンネルの沈下が大きく抑制されるという傾向が確認できた。 一方,脚部補強パイル工は事前地山改良工と併用される場合が多く,脚部補強パイル工の設計方法を提案するためには,事前地山改良工の効果とそのメカニズムも明確にする必要がある。そこで本研究では,現場で実際に採用された様々な改良パターンの効果について検討し,改良深さ,改良幅等がその効果に及ぼす影響について調べた。結果,事前地山改良工は,周辺地盤の強度増加,せん断補強効果,荷重再配分効果等を発揮することで地盤沈下を抑制でき,その効果は改良深さと幅が増加するにつれ高くなることが分かった。さらに,同じ改良範囲を考慮した場合は,深さを増やすほうがより高い効果が得られるという結論を得た。
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