2011 Fiscal Year Annual Research Report
国産材による中大規模木質構造建物の建設可能性に関する研究
Project/Area Number |
22860071
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
稲田 達夫 福岡大学, 工学部, 教授 (80580175)
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Keywords | 地球環境問題 / カーボンニュートラル化 / 木質構造 / 地域連携 / バイオマスエネルギー |
Research Abstract |
昨年の研究成果から得られた重要な観点は、以下である。9階建てのS造事務所ビルとRC造集合住宅を事例とし、中大規模建物の構造部材(柱・梁等)を木質材料で設計する可能性について、検討を行ったが、結果としてはいずれの場合も常識的な大断面集成材で、設計は可能であることが明らかとなった。ただし、柱梁だけを木質構造化しても、それに伴うCO2排出量の削減効果はそれほどは見込めず、逆に床・壁を木質構造化した方が、はるかにCO2削減効果が大きいことが分かった。 今年度は、柱梁は鉄骨造とし、床壁のみを木質構造化した場合について、利点、問題点を検討した。結果としては、 (1)固有周期帯域によっては、建物を軽量化することが耐震性能上不利となる事も考えられるが、実際には、床壁を木質構造化しても、全ての周波数領域において、耐震性が不利になることはない。 (2)軽量化により、柱壁を支える柱梁の鋼材量も減少し、最大で2割程度の鋼材量削減が見込める。 (3)階段の設置等のテナントニーズに対しても、竣工後の床の取り外し等が、対応が容易となる。 (4)床壁を木質化することにより、吸音効果、反響の提言効果等が見込める。 (5)建設時におけるCO2排出削減効果は大きい。但し、LCCO2の観点からは、現状ではそれほど大きな差にはならない。 今後は、床が本来持つ構造的役割の再整理、床と鉄骨梁の接合方法の検討、コンクリート床に対する経済的優位性の検討等が課題である。
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